2017 年 70 巻 2 号 p. 101-104
3日齢の黒毛和種新生子牛が哺乳欲不振を呈したため診察したところ,下顎右第一切歯の歯肉内側に拇指頭大の腫瘤を確認した.肉眼所見では腫瘤は乳頭状でやや分節し,表面は黄褐色または灰白色で付着部はやや発赤していた.触診では弾力がなく軟らかであった.5日齢時に腫瘤を摘出し病理組織学的観察を行ったところ,腫瘤深部において大小の不規則な管腔を持つ小血管が高度に増生していた.おのおのの血管における血管内皮細胞数は正常な血管と比べて多く,卵円形で管内に突出していたが,細胞の異型性及び有糸分裂像は認められなかった.典型的な血管腫と比較して間質結合組織は疎で水腫様を呈しており粘液産生も確認された.以上の所見にもとづき,本症例を血管過誤腫と診断した.国内においては子牛の歯肉における発生報告がなく,貴重な症例であると考えられた.