日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
沖縄本島でみられた山羊におけるMycoplasma ovipneumoniae感染症の1例
中尾 聡子仲村 真理荒木 美穂杉山 明子
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 70 巻 5 号 p. 303-307

詳細
抄録

沖縄本島で山羊12頭を飼養する肉用繁殖山羊農場において,発咳と起立困難を主徴とする1頭の山羊の病性鑑定を行った.剖検では,肺の肝変化と腫大,心囊水貯留及び腸間膜リンパ節の出血と腫大がみられた.組織学的には,肺の気管支周囲のリンパ濾胞過形成,気管支粘膜過形成を伴う化膿性気管支肺炎及び間質性肺炎が認められた.細菌学的には,肺からMycoplasma ovipneumoniaeBibersteinia trehalosiが分離された.免疫組織化学的検査に供するため,分離されたM. ovipneumoniaeを用いて兎免疫血清の作製を試みた.代謝阻止試験による力価測定の結果,1,280倍の高い力価が得られ,免疫組織化学的検査では病変部にM. ovipneumoniaeの陽性抗原が認められた.以上のことから,本症例はM. ovipneumoniaeB. trehalosiによる混合感染症と診断した.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top