2017 年 70 巻 5 号 p. 313-316
歯周病に関連して口腔鼻腔瘻を発症した犬56例を調査したところ,臨床症状としてくしゃみや鼻汁などの鼻腔症状を呈するものが多く,罹患歯は犬歯が多かった.重度歯周病の犬100例と比較すると,口腔鼻腔瘻は重度歯周病より高齢で発症した.重度歯周病に比べ,口腔鼻腔瘻はミニチュアダックスフントに好発した.治療として罹患歯の抜歯及びフラップ形成を行い口腔鼻腔瘻の閉鎖手術を実施した群の予後は良好であったが,罹患歯の温存を目的とした治療ではほとんどの症例で再発が認められた.