日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
ヘリコバクター除菌療法後に寛解に至った猫の胃小細胞型B細胞性リンパ腫の1例
辻 誠上本 康喜河﨑 哲也石塚 泰雄井澤 武史
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2017 年 70 巻 8 号 p. 523-528

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抄録

5歳齢,避妊雌のアビシニアンが間欠的な嘔吐を示して来院した.上部消化管内視鏡検査を実施したところ,幽門洞に表面の滑沢な隆起病変が認められた.内視鏡生検を行い,リンパ球クローン性解析は陰性であったが,細胞診と病理組織検査の結果,胃のヘリコバクター感染と胃小細胞型B細胞性リンパ腫と診断された.抗がん剤は用いず,ヘリコバクター除菌療法によって30日間の治療を行った結果,症状は消失しリンパ腫は完全寛解に至った.1年後の病理学的検査において,ヘリコバクターの軽度の持続感染がみられたものの,胃粘膜のリンパ腫の再発は認められなかった.

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