2018 年 71 巻 11 号 p. 660-663
約6カ月齢のと畜検査豚の全身皮下脂肪組織に多発性の癒合する巣状化膿性脂肪織炎が認められた.同病変部からはA. pleuropneumoniae が分離され,さらに同菌はマルチプレックスPCRより,A. pleuropneumoniae 血清型2と判定された.組織学的には,皮下脂肪組織においてグラム陰性桿菌の周囲に巣状に好中球及びマクロファージの浸潤が認められ,一部ではSplendore-Hoeppli phenomenonも認められた.免疫組織化学的には,脂肪織病変にみられたこのグラム陰性桿菌は,A. pleuropneumoniae 血清型2に対する抗体に陽性反応を示した.これらの結果から,今回観察された化膿性皮下脂肪織炎はA. pleuropneumoniae 血清型2の感染に関連して発生したことが示唆された.