日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
移行抗体を保有する牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛の血清中遺伝子量の調査
宮根 和弘松田 きく開 理奈藤本 彩子菅野 徹
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2019 年 72 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)持続感染牛(PI牛)の血清中BVDV遺伝子量(コピー数)を調査し,RT-PCRによる診断材料として移行抗体を保有する哺育期PI牛血清が妥当であるかを検討した.また,PI牛摘発のスクリーニングに用いられるプール血清とした場合の影響も検討した.抗体陽性血清の最小値は2.17×104コピーと,RT-PCRの検出限界(約6.25×103コピー)以上であったが,抗体価が高いほどコピー数は有意に低かった.既報による,初乳中の抗体によりBVDV量が一過性に低下するとの結果が,今回初めて野外材料を用いて確認された.プール血清のRT-PCRは低コピー数検体の希釈血清で不明瞭な反応となった.これらから,哺育期PI牛血清をRT-PCRの診断材料とすることは妥当であるが,プール血清はコピー数の一過性低下を考慮する必要があると考えられた.

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