2019 年 72 巻 11 号 p. 695-699
漏斗胸は幼齢猫にまれに発生し,胸骨及び肋軟骨の先天的奇形により胸郭形態が異常なため,呼吸困難,発咳,発育不良などの症状を呈する.その症状改善には,外科的矯正術が必要とされる.今回われわれは,本疾患の7~22週齢の幼猫5症例において,小動物整形外科用骨プレートを用いて胸郭の矯正術を行った.すなわち,全例において,半楕円形に湾曲させた骨プレートを最陥没部の胸骨とその左右肋軟骨に非吸収糸で結紮固定した.結果,全例において,手術直後から胸郭形態の正常化と症状の消失が得られ,その後の追跡期間(8~48カ月,中央値15カ月)においても再発は認められなかった.また,術前術後の解剖学的重症度と臨床重症度スコアによる評価結果からも,本術式は猫の漏斗胸の矯正に有用であると思われた.