日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
豚の消化管間質腫瘍の1例
野中 基弘福士 昴保科 博近内 将記町田 雪乃塚田 晃三道下 正貴
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2020 年 73 巻 11 号 p. 665-668

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抄録

山形県内のと畜場に搬入された繁殖母豚の回腸の漿膜面に隆起する腸壁腫瘤を認めた.生体検査では異常を認めず,解体後検査では回腸以外の臓器に著変を認めなかった.腫瘤は7×6×5cm大が2つと2×1×1cm大が4つからなり,不連続性で,腫瘤表面は乳白色で弾力性を有し,割面は乳白色充実性で,その中心部には陳旧化した膿瘍及び壊死がみられた.病理組織学的には,腫瘤辺縁部では紡錘形腫瘍細胞が束状ないし不規則な錯綜配列を示しながら増殖する像を認めた.腫瘍細胞は長楕円形ないし類円形核と中等量から豊富な好酸性細胞質を有し,有糸分裂像は高倍率10視野で1個であった.免疫組織化学染色では腫瘍細胞はvimentin,KIT及びDOG-1陽性,α-SMA弱陽性,CK及びS-100陰性であった.以上の結果から,本症例を豚の回腸原発の消化管間質腫瘍(GIST)と診断した.

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