本研究では,北海道内の1酪農場に飼養されるホルスタイン種経産牛24頭のうち,分娩後ケトーシスを発症した12頭(ケト群)と発症しなかった12頭(対照群)を供試し,血中酸化ストレスマーカーと血液生化学性状を調査した.採血は両群ともに分娩前10~14日,分娩翌日,分娩後15日に実施した.分娩後15日の血中ヒドロペルオキシド,βヒドロキシ酪酸,非エステル型脂肪酸濃度,及びグリシン/アラニン比は,ケト群が対照群に比べて有意に高かった(P<0.05及びP<0.01).血糖値,メチオニン/グリシン比は,ケト群が対照群に比べて有意に低く(P<0.05),エネルギーに加えてタンパク質不足が推察された.以上より,移行期のケトーシスは脂質の過酸化が進み,ヒドロペルオキシド濃度が増加するため,酸化ストレスが関与している可能性がある.