日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
輸入肥育用馬における腺疫菌の保有状況調査及び分離菌株のSeM遺伝子解析
中島 渓粕谷 和史大島 芙美漆崎 祥平鵜飼 寿住吉 理穂田上 勝則丹羽 秀和
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キーワード: 動物検疫, 分子疫学, 腺疫
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2021 年 74 巻 10 号 p. 636-639

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抄録

腺疫は腺疫菌の感染によって起こるウマ科動物特有の感染症で,世界中で発生がみられている.2019~2020年に輸入された肥育用馬1,303頭の腺疫菌の保有状況調査を実施したところ,フランス産の無症状馬11頭からrPCRにより腺疫菌の遺伝子が検出され,そのうち3頭から腺疫菌を分離した.この3株に,2018~2019年にカナダ産肥育用馬及びベルギー産乗用馬の腺疫発症馬から分離された4株を加えた計7株のSeM遺伝子領域のDNA解析を実施したところ,フランス由来2株が新たなSeM型(SeM-200)に型別された.また分子系統樹解析の結果,フランス由来の3株とベルギー由来の1株で,カナダ由来株とは異なるクラスターが形成された.本研究の結果,輸入肥育用馬の中に腺疫の無症状保菌馬が存在することが分かった.

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