日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
滲出型猫伝染性腹膜炎の診断のための血清猫α1酸性糖蛋白検査の有用性の検討
相馬 武久工藤 庄平照井 潤
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2021 年 74 巻 12 号 p. 799-804

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抄録

猫α1酸性糖蛋白(fAGP)検査の滲出型猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断に対する有用性を知るために,腹水または胸水の貯留を伴い,ウイルス学的にFIPと診断された猫(FIP群)112例と否定された猫(非FIP群)101例の血清中fAGP値(μg/ml )を測定した.FIP群の値(2,571±590)は非FIP群(1,061±836)に比べて有意に高く(P<0.05),正確度を表すc統計量が0.917と高い値であり,本検査の有用性が示された.FIP群において1歳未満のfAGP値(2,671±608)が1歳以上(2,360±429)に比べて有意に高く(P<0.05),さらに猫コロナウイルス抗体価の低い例ほどfAGP値が高い傾向を示した.これらの知見から,判定基準の設定には年齢や抗体価等の条件を考慮する必要があると思われた.

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