2021 年 74 巻 2 号 p. 141-144
と畜検査時に,牛の右心房に約3cm大の結節状の腫瘤が観察された.腫瘤は弾性に富み,表面には直径約5mm大の白色結節が多数認められた.組織学的に,腫瘤は大小の血管,線維性結合組織,成熟した脂肪組織及び心筋線維によって構成されていた.血管構造は不整であり,血管壁は線維性結合組織によって著しく肥厚していた.特殊染色及び免疫染色の結果,血管壁のおもな構成成分が膠原線維,弾性線維,平滑筋及び粘液であることが判明した.以上の所見に基づき,本症例を心臓血管過誤腫と診断した.