日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
トラネキサム酸による催吐処置後に重篤な有害事象を生じた犬2例並びに催吐処置アンケート調査
入江 充洋鵤 満伊藤 良一三好 拓馬栗谷川 優子藤木 範之チェンバーズ  ジェームズ内田 和幸
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2021 年 74 巻 8 号 p. 503-507

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抄録

トラネキサム酸(以下,「TXA」)は,本邦では安全性の高い催吐薬と認識されており,犬の催吐薬として多く用いられている.しかし,TXAを用いた催吐処置後に重篤な有害事象を呈した2例を経験した.1例は投与数日後にショック状態となり死亡し,病理組織学的検査により肺動脈血栓,肝臓のび漫性うっ血及び腎臓にアミロイド沈着が認められた.他の1例は,TXA投与後にてんかん重積状態を発症したが,数日間の抗てんかん薬の投与にて改善した.そこで,TXAによる催吐処置後の有害事象発生状況を把握する目的で,臨床獣医師にアンケート調査を実施した.その結果,15%の獣医師が有害事象を経験していた.最も多い有害事象は痙攣であった.

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