日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
小動物臨床関連部門
断脚を行ったヨツユビハリネズミの骨肉腫の1例
大橋 銀河松井 李穂木内 健渡邉 謙一大橋 英二
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 74 巻 9 号 p. 563-568

詳細
抄録

2歳のヨツユビハリネズミ(Atelerix albiventris)に左前肢を大きく取り囲む硬い腫瘤を認めた.X線検査で,橈骨及び尺骨近位端の骨融解と腫瘤内部に透過性の低い領域を認めた.肩甲骨から断脚し,病理学的検査を実施した.橈骨及び尺骨近位部を破壊して増殖する腫瘍細胞が認められ,類骨を産生し,過ヨウ素酸シッフ陽性,アルシアンブルー陽性,マッソントリクロームに青染する間質組織を伴っていた.同細胞はVimentin及びS-100に陽性であった.以上の所見より骨性骨肉腫と診断した.経過は良好だったが,術後297日に肺転移像が認められ,術後312日に斃死した.病理解剖により骨肉腫の肺転移が確認された.本症例は,術後10カ月の良好な生存期間が得られ,ハリネズミの四肢に発生した骨肉腫には,断脚が有効な治療になり得ると思われた.

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top