日本獣医師会雑誌
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獣医公衆衛生・野生動物・環境保全関連部門
野生動物でのオーエスキー病ウイルスの異種間伝播
南 昌平横山 真弓石嶋 慧多下田 宙栗原 里緒宇根 有美森川 茂前田 健
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2022 年 75 巻 2 号 p. e29-e35

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抄録

2016年,近畿地方で2頭の死亡したアライグマが発見された.これらアライグマからオーエスキー病ウイルス(PRV)が分離された.分離されたウイルスの全ゲノム配列を解析した結果,国内で使用されているワクチン株にはないgE遺伝子を保有しており,野外株であることが判明した.同地域のイノシシ111頭とアライグマ61頭の血清についてPRVに対するウイルス中和試験を実施した結果,13頭のイノシシが抗体陽性(11.7%)となり,アライグマはすべての個体で陰性であった.死亡したアライグマの発見地域は養豚場におけるPRVの清浄地域であり,イノシシからアライグマへのPRVの種間伝播が強く疑われた.以上より,本報告はアライグマにおける初のPRV自然感染例であり,イノシシから異種動物へ致死的な感染を引き起こす可能性が明らかとなった.

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