2023 年 76 巻 6 号 p. e157-e163
豚におけるEscherichia albertii 浸潤状況を明らかにするため,秋田県のと畜場搬入豚及びその飼育農場環境における検出状況を調査した.Nested-PCRによるスクリーニング試験の結果,豚直腸便のE. albertii 陽性率は21.9%で,保菌率の高かった農場では環境試料からも検出された.菌株分離を行い,豚直腸便5検体と農場内の敷料(バイオベッド)5検体から菌株を得た.分離株はいずれも病原遺伝子としてeae,paa,Eacdt を保有し,O抗原遺伝子型がEAOg25で,一部を除きパルスフィールドゲル電気泳動によるPFGEパターンも類似していた.これらの結果より,秋田県の豚でもE. albertii は比較的高率に保菌され,一部の農場内では特定のE. albertii が飼育環境を汚染していたことが示された.