日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
脊髄造影検査にて神経徴候の悪化を生じた椎間板ヘルニアのミニチュアダックスフンド2症例
坂口 裕亮田中 宏北村 雅彦松本 有紀中垣 佳浩松倉 将史川辺 朋美中山 正成
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2023 年 76 巻 8 号 p. e193-e196

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抄録

CT検査により脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認めた椎間板ヘルニアのミニチュアダックスフンド2症例に遭遇した.2症例ともに脊髄造影検査を実施したところ,神経徴候が悪化した.片側椎弓切除術にて,椎間板物質の摘出を試みたが,周囲組織と癒着しており摘出は困難であった.このことから,CT検査で認められた石灰化した椎間板物質は,脊柱管内で時間経過を経たものと考えられ,脊柱管内を大きく占拠する椎間板物質に長い経過で圧迫されている脊髄に対し,造影剤を注入することで脊髄障害を悪化させた可能性が考えられた.以上より,CT検査によって脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認める症例に対し,脊髄造影検査を実施する際には悪化の可能性を考慮する必要があり,また,手術法やその適応など十分検討が必要であると考えられる.

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