2023 年 76 巻 9 号 p. e208-e212
8カ月齢,雌,体重213kgの黒毛和種牛が原因不明の両後肢浮腫を示した.本症例は一般状態や歩様に異常はみられなかった.血液検査では浮腫の原因となる疾患の存在を示唆する所見は認めなかった.各種臨床検査及び診断的治療の結果から,本症例の両後肢浮腫は,心臓疾患や栄養失調を含む全身性疾患や局所の炎症性や血管性によるものではなく,局所リンパ流障害に起因することが示唆された.両前肢腕節及び両後肢飛節の皮下に油性ヨード系造影剤を注入し,経時的にX線撮影を実施した.その結果,両前肢では造影剤のリンパ管内流入が確認されたのに対し,両後肢では見出されなかった.以上の所見から,本症例は臨床的にリンパ水腫と診断され,病理学的検査により本疾患であることが確認された.