2025 年 78 巻 4 号 p. e67-e72
飼育下のウサギでは不適切な食事内容や先天的要因などにより不正咬合が好発することが知られている.また,ウサギでは臼歯の多くに歯周炎がみられるといわれている.本研究ではウサギの臼歯における不正咬合と歯周病との関連について調査した.不正咬合の評価は肉眼的に行い,歯周病の評価は歯周プローブを用いて歯周ポケットの深さを測定した.歯周病は不正咬合のあるウサギでは不正咬合のないウサギと比較し有意に罹患率が高かった.歯周病の程度は不正咬合が進行しているほど重度であった.また,歯周病が重度なほど根尖膿瘍の罹患率は高かった.歯周病罹患率が不正咬合のあるウサギで有意に高いことから,歯周病の発生に不正咬合が大きく関与している可能性があり,また,重度の歯周病は根尖膿瘍などさらに複雑な病態に進行する可能性があることが示唆された.