2026 年 79 巻 4 号 p. e35-e40
3カ月齢のホルスタイン種子牛が後躯麻痺,起立困難を呈した.右側背部に波動感のある腫脹部位がみられ,超音波検査及びX線検査で第8胸椎膿瘍と推察された.病理解剖では,当該部位に被包化膿瘍が形成され,第8胸椎棘突起及び椎弓は顕著に融解穿孔し,脊柱管内では変形した椎骨が背側硬膜外から脊髄を圧迫していた.その他に,肝左葉及び舌根部に膿瘍が認められた.細菌検査では,前述の膿瘍全てからFusobacterium necrophorum subsp. necrophorum が分離され,抗F. necrophorum 抗体を用いた免疫組織化学では膿瘍部のグラム陰性桿菌に一致して陽性であった.本症例は,出生後に臍帯から侵入した本菌が肝膿瘍を形成後,血行性に胸椎に移行した可能性が示唆された.