抄録
著者らは昭和33年2月4日より3月16日にわたって, 長野県下伊那郡某村に集団的に発生したこ等乳分泌乳牛15頭について, 種々検索したところ, 肝蛭虫卵を全例に認めたので (うち治療の完全実施したもの10頭) ヘキサクロールエタン製剤 (ヘキサロン) によって駆虫したところ, 次のような成績を得た.
1. 10例中6頭がアルコール反応陰転した. そのうち2頭 (No.1, 2) は, なお, 肝蛭虫卵を認めたがグロス反応, A/G比はともに好転した.
2. 治癒しない4頭は乳質検査により乳房炎と認められたもの3例, 血液検査によって肝機能障害や, 血清中ミネラルの不均衡にあるもの3例, 飼料給与量の過不足はなはだしいもの3例, その他の飼育管理の悪いもの3例などがあげられ, いずれの乳牛もこれら2, 3の不適と思われる項目が認められた. 稿を終るに臨み, 種々御懇篤なる御指導, ならびに御校閲を賜わった吉田支場長に厚く感謝する.