日本獣医師会雑誌
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遠心管内遊出法による牛肺虫子虫の検査法について
II比較試験と応用例
上野 計
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1968 年 21 巻 6 号 p. 255-259

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抄録
遠心管内遊出法による牛肺虫第1期子虫検出の基礎試験に続いて, 本検査法とベールマン氏法, カワラ培養法などとの比較を試み, 応用的見地から牛肺虫実験感染牛について子虫の排泄消長を調べた. また, 牛肺虫病の2発生例について本検査法を実施した.
比較試験では遠心管内遊出法はベールマン氏よりも検出子虫数が多く, カワラ培養法よりかは検出率が極めて高かった. 実験感染牛のPrepatent periodは25~27日, 最高子虫数は感染後36~37日目であった. その後, 子虫は次第に減少したが, 感染後から子虫消滅までの期間は概して50~65日であった.
北海道, 豊富村の1牧野における発生例のうち送付された材料は病的時期や郵送期間における子虫の自然減少などから, 必ずしも好適ではなかったが13頭中9頭から子虫を検出した. 東京都下三宅島牧野の発生は多くの牛が明瞭に牛肺虫病の症状を示したが, 初放牧幼牛97頭中85頭から種々な程度の子虫数を検出し, 最高LPG1366であった. 放牧経験牛の感染率は低く子虫数も少なかった.
これらの成績から, 遠心管内遊出法によって牛肺虫病を正確かつ容易に診断しうるものと思われる.
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