日本獣医師会雑誌
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子牛の片側腎膿瘍の摘出例
萩尾 光美久保田 学野坂 大幡谷 正明吉村 隆美
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1981 年 34 巻 1 号 p. 2-5

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抄録

牛の細菌性腎孟腎炎はBRUCKMÜLLER (1869) が腎孟の拡大を伴う腎膿瘍の1例を報告して以来, 欧米はもとよりわが国においても, 寒冷地方を中心に広く発生がみられるようになった, 著者らは生後, 発育不良な5カ月齢の黒毛和種の雄子牛において, 膿瘍化した右腎を外科的に摘出した結果, ほぼ良好な治癒を得た.摘出した右腎の重量は2.3kgで大きさ25×20×18cmであり, 術前の尿細菌検査および摘出腎の病理組織検査の結果, Corymbacterium renaleEscherichia coliの混合感染による細菌性腎孟腎炎と診断された.術後8カ月余にわたって経過を観察し, 一般臨床所見にはとくに異常は認められず, 発育も概ね順調であった.術前にみられた血液濃縮像, やや高い値を示した血清のBUN, Creatininc, ZTTは術後次第に正常に復した.尿の白濁は術後2週間目にはほとんど消失したが, 尿中の細菌検出では菌種の変動はあったが陽性状態が続いた.

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