日本獣医師会雑誌
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Clostridium perfringensによる6例の牛の壊疽性乳房炎
清水 清藤居 直樹清水 信美愛洲 隆一郎高附 敏幸浜岡 隆文武居 和樹
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1981 年 34 巻 1 号 p. 8-13

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抄録

1978年7月から1979年4月の間にClostridium Perfiingensによる6頭の壊疽性乳房炎牛に遭遇し次の結果を得た.
1.発生は2月から4月までの冬季から早春にかけての発生が多く, 1飼育地では1カ月間に続いて発生を認めた.
2.発症は6例とも分娩後にみられ, うち5例までは分娩後3日以内であった.
3.生体時の顕著な全身症状と乳房の腫脹, 紫色, 硬結の共通所見, 剖検における壊疽部分房の出血, 壊死, 悪臭の共通所見, さらに実質臓器の出血性変化が注目された.
4.壊疽罹患乳房を検査した5例のうち3例からはC. Perfringensが単独で分離され, 臓器19中の菌数は107~108個であった.2例からはC. Perfringensと大腸菌またはグラム陽性球菌が混在分離され, C. Perfringensが優位であった.
5.各実質臓器の細菌検査では, 検査した5例全てからC. Perfringensが1g当たり102~106個前後で菌血症的に分離された.
6.各症例から分離したC. Perfringensの毒素型別は全てA型であり, そのα毒素値は0.05~0.2であった.
7.病理組織学的検査により, 乳房組織内にC. Perfringensの菌塊を認めた.
8.分離したC. Perfringensの薬剤感受性試験を実施したところ, テトラサイクリン, クロラムフェニコール, ロイコマイシンに強い感受性が認められ, カナマイシン, コリスチンには全く感受性が認められなかった.

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