日本獣医師会雑誌
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寒天ゲル内沈降反応とCounterelectrophoresisによる肝蛭病の診断
木村 容子野呂 明弘若松 脩継
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1982 年 35 巻 6 号 p. 344-348

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抄録

1980年, ホルスタイン種育成牛16頭と成牛79頭, 延べ209検体の血清を用いて, 寒天ゲル内沈降反応およびカウンター電気泳動法による肝蛭病の診断を試みた.
1) 屠場材料から採取した肝蛭成虫の生の虫体からの生理的食塩水抽出抗原は, 肝蛭病の血清学的診断のための抗原として使用できると思われた.
2) カウンター電気泳動法は, pH8.6, μ=0.05のベロナール塩酸緩衝液に0.8%の割合に精製寒天を溶解させたゲルを用いた場合, 良好な成績が得られた.
3) 肝蛭の継続感染が認められなかった放牧牛の場合, 沈降抗体は虫卵検出時期より2ヵ月以前から検出されたが, 虫卵の検出開始とともに沈降抗体の消失が認められた.
4) 継続感染の考えられる成牛において, 新ワラ給与後70日目の沈降抗体と虫卵検出状況を, 4農家を用いて比較したところ, その成績は農家間のバラツキが大きかったが, いずれの農家においてもカウソター電気泳動の陽性率は, 寒天ゲル内沈降反応および虫卵検査での陽性率よりも高かった.

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