1985 年 38 巻 2 号 p. 103-107
小型ピロプラズマ病の発症予防法として, 感染血液の計画的接種法が効果的とされているが, 牛白血病ウイルス (BLV) などの病原微生物の人為的伝播の危険性がある. そこで, 1968~1979年に本法が実施された21カ所, 延べ37試験地の試験牛304頭の経過血清について寒天ゲル内沈降反応によってBLV抗体の推移を検討した. その結果, 供血牛の血液を摘脾した実験牛に接種して迷入ウイルス, 細菌, 原虫等の否定試験を行って作製した試作ワクチン接種群と血液非接種群では抗体の陽転率が低く, 両群間にはほとんど差がなかった. しかし, 上記以外の血液接種群では接種後の舎飼期および放牧期の陽転率が高率であった. また, BLV汚染地と考えられる舎飼地では, 血液接種とは無関係に抗体陽転牛が認められた.