日本獣医師会雑誌
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某養豚場における豚の抗酸菌症の発生と浄化について
矢挽 輝武鷺谷 敏一大室 守田中 健介柴田 勲
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1985 年 38 巻 5 号 p. 310-314

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抄録

抗酸菌に高度に汚染された一養豚場について, 発生状況など一連の調査と本症に対する浄化対策を実施し, つぎの成績を得た.
1) 1982年2月から10月にかけて屠畜場に搬入された豚の本症による腸管廃棄率は, 741頭中182頭の24.6%で, 月別の廃棄率は52.7~8.6%であった.
2) 扁桃ならびに各リンパ節およびオガクズからの抗酸菌の分離率は, 前者が17頭中8頭の47.1%, 後者が9例中8例の88.9%であった.
3) 分離抗酸菌のうち, 豚由来のものはすべてMycobacterium intracellulareであったが, オガクズ由来株では17株中10株がM. intracellulaceであった.
4) 分離M. intracellulareの血清型は, 豚由来株では8型38.5%, 9型7.7%およびその他の血清型が53.8%であった.いっぽう, オガクズ由来株では8型10%, 9型60%, その他10%で, 9型が最も多かった.
5) 繁殖雌豚, 種雄豚, 育成豚718頭についてッベルクリン反応を実施した結果, 272頭の37. 9%に陽性反応がみられた.
6) 本症発生による該養豚場の経済的損失額は屠畜場での腸管廃棄物およびツ反応陽性豚の淘汰を合わせ, 33, 110,000円と概算された.
7) ツ反応陽性豚の摘発, 淘汰, 環境整備および消毒等により, 短期間で清浄化することができた.

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