日本獣医師会雑誌
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豚異常肉の実験的作出と枝肉の温度とpH値による自然発生例の分類
前田 博之森 千恵子湯浅 亮横田 博
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1985 年 38 巻 9 号 p. 581-586

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抄録

実験屠体各群にこおいて, 屠殺後90分のpHと肉眼所見とに関してきわめて特徴的な傾向がみられた. すなわち, 打額群のpHの平均値5.92±0.21を基準とすると, 実験I群は高く, 実験II群は低かった. そしてI群はDFD傾向, II群はPSE肉であり, ともに早い死後硬直が確認された.
通常屠殺材料のpH値はばらつきが大であった. ところが早期温体硬直群を総合的に検討する過程で, 実験群のデーターを参考にすると, 屠殺後90分という時点のpH値で, A: 6.0以上, B: 6.0~5.6, C: 5.6以下の3亜群に区分できることが判明した. そして, C亜群はPSE肉, A亜群はDFD肉であることが認められた. 通常屠体のpHは5.69±0.24であった.
内臓摘出直後の打額群肉温40, 0℃を基準にすると, 実験I群は+1.3℃, 実験II群は+1.4℃で, この上昇は興奮や筋運動の指標となり, 屠体における異化代謝速度の増大を予測させる. 通常屠体は+0.4℃, 早期温体硬直のA亜群は+0.1℃, B亜群は-0.1℃, C亜群は+1.3℃であった.

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