日本獣医師会雑誌
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逆受身赤血球凝集反応による犬パルボウイルスの犬糞便からの検出
水越 紀子桐沢 力雄小沼 操川上 善三
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1986 年 39 巻 1 号 p. 39-43

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抄録

犬パルボウイルス (CPV) 実験感染犬および野外自然感染犬の糞よりCPVを検出する目的で, 逆受身赤血球凝集 (RPHA) 反応の応用を検討した.アフィニティークロマトグラフィーにより精 製した抗CPV家兎血清を感作したグルタルアルデヒド, タンニン酸処理羊赤血球を用いて本反応を実施し, 以下の結果を得た.
1) 実験感染例では臨床症状の発現とともに, 発症犬の糞中のRPHA価および赤血球凝集 (HA) 価は並行して上昇した. これらの糞からは, 猫肺株化細胞 (FLF-3) 接種によりCPVが分離された.
2) 野外例でのHA価1: 32以上の糞は, すべてRPHA価も陽性であった.
3) 対照として, CPV陰性家兎血清を感作した羊赤血球を用いたRPHA法を実施することにより本法の特異性が確認された.
以上のことからRPHA法はCPV感染を簡易に診断できる特異性の高い方法であることが示唆された.

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