抄録
昭和56年, 動物検疫所神戸支所において, 台湾輸出用の長野県産山羊89頭についてツベルクリン皮内反応検査を実施した. その結果, 1頭に硬結を伴う腫脹差8mmの反応がみられたので, 結核病患畜として殺処分した.
病理学的検査の結果, 両肺の横隔膜葉のほぼ中心部に粟粒大の灰白色結節が各々1個つつ認められた. 結節部は結合織によって分画された結節性病巣で, 結合織の壊死部に接する領域には組織球の増殖があり, 病巣部全体がリンバ浸潤を伴った肉芽腫である. 壊死巣内には組織球性細胞からなる小結節が散見され, 抗酸性の桿菌が証明された.
細菌学的検査の結果, 肺および肺門リンパ節から非定型抗酸菌が分離された.
分離菌は, 遅発育型で光発色性であり, 亜硝酸ソーダ培地, リファンピシン培地およびエタンブトール培地のいずれにも発育せず, ツウィン水解試験, ウレアーゼ反応およびニコチンアミダーゼ反応陽性, 37℃で発育し, 22℃と45℃では発育しなかった.
これらの性状から本菌をMycobacterium kansasiiと同定した.
本菌の感作モルモットに対する皮内反応では, 鳥型ツベルクリンと哺乳型ツベルクリンの間に有意差は認められなかった.