抄録
骨軟症馬3頭, 同症誘発馬として健康馬2頭, 骨脆賜症馬2頭, 同症誘発馬として健康馬1頭を用い, 骨軟症, 同症誘発馬には, 基本飼料として米糠, 稻わら (高P低Ca)を與え, これに炭酸石灰を加脱することによりて, Ca量を加減し, 骨脆弱症及び同症誘発馬には, 基本飼料として高梁, 稻わらを與えて, 低P低Caの飼養を持続した, またこれらにMgを多給し, あるいはビタミンDを十分補給する等の実験を行りたところ, 次の結果を得た,
1, 骨軟症馬を高P低Caの飼料で飼養すると, 病勢は極度に悪化し, 僅々70日で平均30kgの体重減を來たした,
2, 健康馬を高P低Caで飼養すると, 30~60日で跛行が出現し, 骨穿刺成績は陽性となる等, 骨軟症の病徴が出現した。
3, 臨床上最も顯著に現われた病徴は, 骨軟症と骨脆弱症の場合を通じて, 間歇性の跛行であり, 7~10日で患肢が変つていつた。また骨脆弱症では, 骨軟症に比べて, 歩様が一般に短切, かつ強拘であつた,
4, 飼料中に炭酸カルシウムを添加して, Caを補つてやると, 重度の骨軟症馬でも, 30日内外で体重が増加し, 跛行が消失または軽減する等, 急速に状態が改善された,
5, 健康馬を低P低Ca低蛋白で飼養すると, 骨脆弱症の病徴が明白に鏡われ, 体重の激減を來たした。
6, 飼料中にMgを添加して飼料の塩基度を高めても, 状態を改善させることができないばかりか, むしろ有害であつた。
7, ビタミンDの補給は, 骨軟症では効果が認められながりたが, 骨脆弱症では獣態を良好ならしめた