日本獣医師会雑誌
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ヨウ素の殺卵効果に及ぼす塩類および界面活性剤の影響
福安 嗣昭芦田 浮美
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1987 年 40 巻 12 号 p. 854-858

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抄録
ヨウ素の殺卵効果に塩類および界面活性剤がどのように影響するかについて検討した結果, 酸性溶液でのヨウ素の50%回虫卵発育阻止濃度 (GID50値) は9.4~16.4μg/mlであり, アルカリ溶液でのよう素のGID50値は40μg/ml以上という高い値であった. また, ヨウ素の回虫卵発育阻止効果には塩類の陰イオンが強く影響し, リン酸イオン次いでクエン酸イオン, 硫酸イオン, 塩素イオンの順にヨウ素の殺卵効果を増強した.
界面活性剤のうち陰イオン界面活性剤を添加した溶液ではすべてヨウ素の殺卵効果が認められた. すなわち, ラウリル硫酸ナトリウム, ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびジアルキルスルポコハク酸ナトリウムのGID50値は, 18.0~22.0μg/mlであった. また, 非イオン界面活性剤のソルビタンモノラウレート (T-20) およびショ糖脂肪酸エステルステアレート-1570においてもヨウ素の殺卵効果の増強が認められた. しかし, 陽イオン界面活性剤ではヨウ素の殺卵効果に及ぼす影響は認められなかった.
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