1987 年 40 巻 3 号 p. 157-160
乳牛の分娩前後8週間における血清遊離脂肪酸 (FFA) 濃度, およびその組成の変動を正常牛およびケトーシス発症牛について検討した.正常牛では, FFA濃度は分娩時に急増したが, 分娩後は減少した.FFA組成中のパルミチン酸 (C16: 0) とオレイン酸 (C18: 1) は分娩時に増加, 分娩後は減少を示した.これに対し, リノール酸 (C18: 2) は逆に分娩時に著しく減少し, 分娩後は増加して分娩後8週では組成中の最大比率を占めた.いっぽう, ケトーシス牛では, 正常牛よりも分娩時におけるFFA濃度の上昇が著しく, 分娩後においても高値を示した.また, FFA組成中のリノール酸の分娩時における減少は正常牛よりも顕著であり, 分娩後の上昇率も低かった.