5才の緬羊にリンパ肉腫の自然発生例を認めた.前縦隔に巨大腫瘍があり, 頸部リンパ節群の腫瘍化が顕著で, 横隔膜, 小腸肝臓にも乳白色結節を認めた. 腫瘍細胞は大型類円形で, 類円形から核縁不整で切れ込みやクビレが目立つものまで, 多様な形の核を持っていた. 以上の所見より, 本例は病変分布から胸腺型, 細胞の大きさと増殖様式から瀰漫性・大細胞型と診断した.
家畜のリンパ肉腫は, 牛, 豚, 猫, 犬などで多く報告 されているが1~5, 9, 13~15) , 緬羊のリンパ肉腫の報告は国外でも少なく1~5, 9, 14, 15) , 国内では自然発生例の報告は見当たらない13) .最近著者らは, 稀有な緬羊のリンパ肉腫を認めたのでその概要を報告する.