1986年8月から1987年1月にかけて, 宮崎県内の3戸のブロイラー農場で, 2週齢前後から未消化便の排泄と発育不良を主徴とする疾病の発生があった. 剖検では, 膵臓の白色化と萎縮盲腸の膨満を認めた. 腸内容物を顕微鏡的に観察すると, デンプン結晶が多量に認められ, ヨウ素デンプン反応で強陽性を示した. 病理組織学的には, 膵臓の間質では結合織の増生, リンパ濾胞の異所形成を認め, 腺房は萎縮・消失し, 腺房細胞ではチモーゲン顆粒の消失, 空胞変性を認めた. 膵臓の病変の程度が強くなるにしたがい, 発育不良の程度は重度となり, 血清α-トコフェロール量も減少し, これらには高い相関が認められた.
原因については究明できなかったが, 発育不良の主要因は膵臓の障害による消化不良であると考えられた.