心電図検査によって徐脈性不整脈を呈する1症例に遭遇し, 初診時から4ヵ月間にわたって観察した結果. 血液・生化学的検査では著変を認めなかったが, 4ヵ月後の検査で重度な徐脈性不整脈を観察した. また, 超音波検査では左心室に対する容量負荷が経時的に増大する所見がみられた. 本症例は内科的療法に反応しなかったため, 恒久的な治療法として, 外科的にペースメーカの埋め込みを試みた.
本症例は, ペースメーカ埋め込み手術時の気管チューブ挿管直後に心室細動に陥り, 緊急処置を行って心蘇生したのちに, ペースメーカの埋め込み手術を行ったものである.術後7日目の各種検査では異常は認められず, 心拍数は100回/分に維持され, 左心機能の各パラメータもほぼ正常に回復し, ペーシングの経過はきわめて順調であった.しかしながら, 14日を経過した時点で突然死した. 剖検の結果, 肉眼的ならびに病理組織学的に前乳頭筋に梗塞斑, 両心室筋内側に広範囲の石灰化が認められた.