日本獣医師会雑誌
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ヨーロッパにおける動物愛護と自然教育をみて
長澤 實
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1989 年 42 巻 10 号 p. 733-740

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抄録
ヨーロッパの先進国においては逸早く動物愛護の立法措置がなされ, 歴史的にも驚くほど動物愛護が定着している. 日本では, 昭和48年に「動物の保護及び管理に関する法律」が成立し現在にいたっているが, 動物愛護の歴史も浅く, 愛護という言葉を耳にする時, 「たかが犬・猫が」といった意識が一般的ではないだろうか. 日本では, 経済大国, 先進国としての位置にありながら, 自然保護, 動物保護といったことに関する意識と理解が稀薄で, この分野における日本の国際的な評価が低いといえるのではないだろうか. しかし今, 総理府は国民への理解と将来を担う子供達の健全でより豊かな成長をめざして, 動物保護思想の向上と動物愛護の普及・啓蒙について, 関係行政機関, 獣医師会や動物愛護団体に対し協力をよびかけている. 私は動物愛護思想の向上を望む一人として, また川崎市に勤務する獣医師の一人として, 市政目標とする「人問都市川崎の創造」の理念のなかに, 動植物愛護の教育や自然環境の保全など, 人間愛に満ちた明るく優しいゆとりある心を求めたいと考えている. 今回, 私は幸運にも海外派遣研修 (第2部) 6期生として研修に参加し, ヨーロッパの動物愛護を学ぶことができたので, ここにその概要を報告する.
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