日本獣医師会雑誌
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心筋型白筋症発生農家の同居子牛の臨床病理学的観察
納 敏一条 茂三宅 拓夫
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1989 年 42 巻 8 号 p. 531-536

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抄録
心筋型白筋症発生4農家の同居子牛36例 (アバディーンアンガス種24例, ヘレフォード種12例, 4~116日齢) の臨床病理学的所見について検討した.
血清酵素活性値 (GOT, GPT, CPK, LDH) では上昇例が多数に見られ, とくにLDH2, 500WU以上が47%, CPK100IU以上が半数例に認められ, LDHアイソザイムではLDH1とLDH2のよ昇が明瞭であった. 心電図検査では洞性頻脈やSTの上昇のほか, T波の増高, 各波間隔の延長などの異常が認められた. 血清トコフェロールとセレニウム値は著しい低値であり, 血液グルタチオンペルオキシダーゼ活性値も低値であった. トコフェロールとセレニウムを投与したところ, LDH1およびLDH2の低下が認められた.
以上の所見から, 心筋型白筋症発生農家の同居子牛においてもトコフェロールとセレニウムの欠乏に起因した心筋障害が認められ, さらに心筋型白筋症の発生が品種と関連があることも示唆された.
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