日本獣医師会雑誌
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1978年から1985年の島根県下の豚におけるインフルエンザの血清学的浸潤調査
白石 忠昭原 文男岡田 雪男多久和 正藤田 忍
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1989 年 42 巻 8 号 p. 537-541

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抄録
1978年4月から1985年10月の7年間に, 島根県湖陵町から屠場へ出荷された肉豚5, 022頭の血清について, 豚インフルエンザウイルス (H1N1) 1株およびホンコン型インフルエンザゥイルス (H3N2) 6株の計7株に対する抗体調査を行い, 以下の成績を得た.
1) 豚インフルエンザウイルスの年次別抗体陽性率は, 36.6~69.6%で推移し, 1978年8月以降, いずれの調査時点においても, 抗体陽性豚が認められた.
2) 豚インフルエンザウイルスの抗体陽性率と季節との間には一定の関連性は認められなかったが, 同一地区内において, 農家間の陽性率に著しい差が認められた.
3) ホンコン型インフルエンザ6株のうち, 和田山, 熊本, 島根および愛知の4株に対する抗体陽性率の推移は, 同様の傾向を示した. すなわち, 80年以降増加し, 83年に最高 (52.8~61.0%) に達し, 以後減少した. 山梨株および東京株に対する抗体は83年を除いてほとんど検出されなかった.
4) 両インフルエンザウイルスは同一地域内で同時に流行したと考えられたが, 両ウイルスの浸潤率の間には関連は認められなかった.
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