無発情で卵巣に黄体が存在する黒毛和種牛99頭を3群に区分し, 1群19頭にはビタミンAD3E注射液10ml (ビタミンA500万IU, D3 50万IU, E 500mg), II群31頭にはPGF2α12-15mgを筋肉内に1回注射し, 両群とも発情発現時に授精を行うよう畜主に指示した. III群49頭にはII群と同様にPGF2αを投与し, 投与後54時間にLH-RH-A100μgを1回筋肉注射して24時間後に授精を行うよう畜主に指示した.
その結果, I群とII群で処置後10日以内に授精が行われたものは処置牛のそれぞれ2頭 (10.5%), 20頭 (64.5%) であり, 受胎したものは1頭 (5.3%), 12頭 (38.7%) であった. いっぽう, III群ではPGF2α投与後3日に全頭に授精が行われ, 28頭 (57.1%) が受胎した.
以上の成績から, PGF2α投与後にLH-RH-Aを追加投与して定時に授精を行うことは, 無発情牛の受胎促進をはかる処置として効果的であると思われた.