日本獣医師会雑誌
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犬の門脈大静脈短絡の1治験例
小川 高鈴木 順二小川 俊男
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1992 年 45 巻 10 号 p. 779-782

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抄録

生後2.5カ月齢時頃よりたびたび消化器症状を呈し, 10カ月齢時よりGPTおよびALPの著増, 黄疸などの肝不全症状がみられ, 加療観察していた犬が1歳齢に達し高アンモニア血症と並行して神経学的異常を発現した. アミノ酸療法などによる治療に反応がみられなかったため脾静脈よりの門脈造影検査で門脈大静脈短絡を確認, 外科的修復術を実施した. 短絡は肝外性門脈後大静脈短絡でシャント血管の完全結紮によっても門脈圧の著増はみられなかった. 手術は前腸間膜静脈より短絡路を経て後大静脈内に至るカテーテルを留置し, これを触知して確認しながら操作することで容易に行うことができた.術後, 症状は画期的に改善され, アンモニア負荷試験でも血中アンモニア値の著増はみられず良好な術後経過が示された.

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