1992 年 45 巻 12 号 p. 950-952
Babesia gibsoni感染症における血清鉄, 不飽和鉄結合能 (UIBC) および総鉄結合能 (TIBC) を自然感染犬8例について治療前と治療後に検査し, 非感染犬15例の値と比較した. 治療前において血清鉄値は非感染犬に比較して有意に (p<0.001) 上昇しており, UIBCは有意に (p<0.001) 低下していたが, 治療後はいずれも非感染犬の値にほぼ一致していた. いっぽう, TIBCには有意な変化は認められなかった.このことから, 血清鉄の測定は溶血および造血状態の把握や治療効果の評価に有益であることが示唆された.