1993 年 46 巻 6 号 p. 472-474
トリレオウイルス (ARV) を30日齢SPF鶏の趾蹠 (FP) 内に接種し, FPの病変を腓腹腱と比較しながら経時的に病理組織学的に検索した. FPでは接種後2日目より偽好酸球および単核細胞を主体とした細胞浸潤ならびに水腫が観察され, これらの変化は接種後4~6日目にピークに達した. その後, 水腫は次第に消失傾向を示しFPの肉眼検査での腫脹指数の動きとよく相関した. いっぽう, 腓腹腱の病変はFPよりやや遅れて接種後6~8日目でピークに達し, それらは軽度であったが質的にはFP病変と同様の変化を示した. これらの成績から, FP病変が腱鞘炎に代わるARV感染の指標として利用できることが示唆された.