1993 年 46 巻 6 号 p. 487-491
種々の犬角膜疾患に対しコラゲナーゼ阻害剤である3%N-アセチルシステイン (ACET) を投与し, 臨床効果と安全性について検討した. 本剤を原則として1回1~2滴, 1日5~6回点眼とし, 効果判定に影響の可能性のある薬剤併用は認めないものとした. 投与対象疾患では創傷性角膜炎と角膜潰瘍がほとんどを占あていた. 臨床効果判定では88.7%(71例中63例) にやや改善以上の効果を認めた. 副作用は判定対象症例82例中認められなかった. 有用性については85.9%(71例中61例) がやや有用以上の判定であった. このことから, 犬角膜疾患に対してACETは改善治癒に著明な効果を有しており, 高い安全性と優れた保存性からも小動物臨床において十分な有用性が示唆された.