1998 年 51 巻 12 号 p. 732-734
多中心型リンパ腫 (ステージV) と診断されたパグ犬 (雌, 2歳6カ月) に多剤併用化学療法を実施したところ, 腫大体表リンパ節は縮小し, 各リンパ節における腫瘍細胞の変性・壊死が認められたが, 治療開始後23日から後弓反張をともなう全身性痙攣発作が認められ, 10日後に死亡した.大脳および小脳の軟膜下と血管周囲には腫瘍細胞の著しい浸潤・増殖が観察され, 中枢神経系組織における腫瘍細胞の増殖は化学療法により抑制されないことが示唆された.