重心を前後方向に移動することによって起立する乳牛の起立様式では, 加齢にともなって重心の移動距離が大きくなる傾向がみられ, 起立に要する時間は加齢とともに長くなった. 繋留乳牛では, 繋留域, 短い牛床および縁石が障害となって, 重心の前後移動が制限されるため, 後肢を踏みかえたり, 滑走をしながら起立した.関 節周囲炎の発生要因について数量化理論II類を用いて検討したところ, 乳牛の体長と牛床長の比, 縁石の高さおよび繋留方法等が関節周囲炎の発生に強く影響することが明らかにされ, 牛舎構造と繋留方法が乳牛の起立様式に影響して関節周囲炎発症に関与することが推測された.