日本獣医師会雑誌
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犬の前立腺肥大症に対する酢酸オサテロンの治療効果
津曲 茂久久山 昌之久山 登美雄田中 延吉中川 秀樹鳥海 弘武石 昌敬
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1999 年 52 巻 11 号 p. 703-706

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抄録

前立腺肥大症犬に対する合成抗アンドロジェン製剤である酢酸オサテロン (TZV-906, 帝国臓器製薬) の治療効果を検討した. 17頭を薬剤投与量に応じて3群, すなわち0.25mg/kg未満のL群 (2頭), 0.25~0.5mg/kgのM群 (8頭), 0.5~lmg/kg (7頭) のH群に区分し, 1日1回の経口投与を7日間または10日間行った. 薬剤の効果について臨床症状, X線検査, 直腸検査, 超音波検査等から判定した. 前立腺の縮小および臨床症状の軽減がみられたものは17例中15例 (88.2%) で, そのうち13例は著効ないし有効であった. 前立腺肥大症に対するTZV-906の投与量および期間は原則的には0.25~0.5mg/kg, 7日間で十分であると思われた. 臨床症状の軽減効果は, 12カ月間以上持続している. これらのことから, TZV-906 (0.25~0.5mg/kg) の連続経口投与法は, 酢酸クロルマジノンのインプラント法より簡便で, 同等の効果の期待できることが確認された.

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