日本獣医師会雑誌
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52 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 澤向 豊, 張 文昌, 金子 一幸, 森好 政晴
    1999 年 52 巻 11 号 p. 689-694
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    分娩後5週以降に化膿性子宮内膜炎と診断され, 卵巣に開花期黄体が触知された牛6頭にプロスタグランジンF (PGF)(ジノプロストとして25mg) を, 他の6頭には生理食塩液5mlを1回筋肉内注射し, 子宮頸管粘液および子宮内膜の変化を調べた. PGF投与群では投与後4日に全例が発情し, 14日には多くの例で頸管粘液の好中球および子宮内膜のマクロファージが消失または減少し, 多くの例で膠原線維間のリンパ球集簇が消失した. 対照群では, 投与後14日まで発情徴候は発現せず, 病変に変化はなかった.
  • 岡田 洋之, 甲斐 貴憲, 初谷 敦, 小岩 政照, 吉野 知男
    1999 年 52 巻 11 号 p. 695-698
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性萎縮性第四胃炎に罹患した乳牛2頭の臨床ならびに病理学的検索を行った. 臨床的に線維性未消化軟便, 削痩, 元気消失, 冷性浮腫がみられ, 血液化学検査で低蛋白血症, 低ナトリウム血症, 低カルシウム血症, 低コレステロール血症, 低ガストリン血症が認められた. 肉眼的には慢性第四胃炎が存在した. 組織学的には粘膜の菲薄化, 幽門腺ならびに胃底腺の萎縮, 粘膜固有層への単核細胞浸潤が著明であった. 幽門部でのガストリン分泌細胞 (G細胞) は減数し, 腺体部上方へと移行していた. 正常幽門腺で染まるピーナッツレクチン (PNA) は陰性であった. 病理形態学的に確認された幽門腺の萎縮, 胃底腺の萎縮, G細胞の局在およびPNAの染色性などの変化は, 臨床的に認められた消化障害と関連していたと考えられた.
  • 角田 元成, 廣瀬 弘典, 鈴木 一由, 花積 博實
    1999 年 52 巻 11 号 p. 699-701
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    周産期乳牛に食餌性ビタミンEを連日 (2,000IU/回) と週2回の間歇 (7,000IU/回) 給与したときの, 母牛および出生後1週の子牛血清と初乳中ビタミンE濃度を比較した. ビタミンEの連日給与群は間歇給与群よりも母牛血清中ビタミンE濃度を高値で維持し, 初乳中ビタミンE濃度 (6.52±2.68μg/ml) も間歇給与群 (4.07±2.31μg/ml) より高値であった (P<0.05). また, 子牛血清中ビタミンE濃度は初乳移行に依存しているため, 連日給与群 (2.29±0.43μg/ml) が間歇給与群 (1.38±0.62μg/ml) よりも高値であった (P<0.01). よって, 初乳を介して子牛にビタミンEを効果的に給与するためには, 母牛血清中ビタミンE濃度を高値で維持できる連日給与が望ましい.
  • 津曲 茂久, 久山 昌之, 久山 登美雄, 田中 延吉, 中川 秀樹, 鳥海 弘, 武石 昌敬
    1999 年 52 巻 11 号 p. 703-706
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    前立腺肥大症犬に対する合成抗アンドロジェン製剤である酢酸オサテロン (TZV-906, 帝国臓器製薬) の治療効果を検討した. 17頭を薬剤投与量に応じて3群, すなわち0.25mg/kg未満のL群 (2頭), 0.25~0.5mg/kgのM群 (8頭), 0.5~lmg/kg (7頭) のH群に区分し, 1日1回の経口投与を7日間または10日間行った. 薬剤の効果について臨床症状, X線検査, 直腸検査, 超音波検査等から判定した. 前立腺の縮小および臨床症状の軽減がみられたものは17例中15例 (88.2%) で, そのうち13例は著効ないし有効であった. 前立腺肥大症に対するTZV-906の投与量および期間は原則的には0.25~0.5mg/kg, 7日間で十分であると思われた. 臨床症状の軽減効果は, 12カ月間以上持続している. これらのことから, TZV-906 (0.25~0.5mg/kg) の連続経口投与法は, 酢酸クロルマジノンのインプラント法より簡便で, 同等の効果の期待できることが確認された.
  • 柴崎 哲, 高島 一昭, 田中 綾, 星 克一郎, 山根 義久
    1999 年 52 巻 11 号 p. 707-710
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    運動不耐, 失神発作を主訴として14カ月齢, 体重2.9kgのポメラニアンが来院した. 各種一般検査および心カテーテル検査により, 圧較差が99mmHgを示す重度の肺動脈弁狭窄症と診断し, 体外循環下でパッチグラフトを用いた右室流出路拡大形成術による根治術を実施した. 患畜は速やかに体外循環から離脱し, 術後なんら合併症を起こすことなく順調に回復した. 術後3カ月の超音波検査では, 同部位の圧較差は6mmHgと著しく改善し, 主たる臨床症状は消失していた. 現在術後16カ月を経過しているが, 無投薬にて順調に推移している. 肺動脈弁狭窄症の体外循環下による修復術は, 小型犬においても安全に実施可能であることが示された.
  • 宮本 忠, 塚本 康浩, 嶋田 照雅, 大橋 文人, 桑村 充, 山手 丈至, 小谷 猛夫
    1999 年 52 巻 11 号 p. 711-713
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    グレート・ピレニーズ, 雄, 6歳が1年間にわたる間欠的食欲不振, 体重減少, 多飲・多尿, 運動不耐, 間欠的軟便を主訴に来院した. 血液検査では貧血, 白血球増加症, 高窒素血症, 高K血症, 低Na血症がみられ, 内分泌検査から原発性副腎皮質機能低下症と診断された. ヒドロコルチゾン (1mg/kg/day) と通常維持量の4分の1量の酢酸フルドロコルチゾン (6μg/kg/day) の併用で良好に維持された. 172病日に左側前肢手根関節の滑膜肉腫と診断され, 外科手術と化学療法を受けたがその後も副腎皮質機能低下症は良好にコントロールされた.
  • 内田 明彦, 内田 紀久枝, 川上 泰, 村田 義彦
    1999 年 52 巻 11 号 p. 715-721
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1990~1998年に神奈川県中央部と東京都西多摩郡日の出町に生息するタヌキNyctereutes Procyonoides umerrinusの内部寄生虫を調査した. 45頭中44頭 (97.8%) に蠕虫類の寄生が認められ, 線虫類11種 (タヌキ回虫Toxocara tanuki, クシマタヌキ鉤虫Ancylostoma kuskimaense, ミヤザキタヌキ鉤虫Artkrostoma miyazakiense, 猫糞線虫Strongyloides Planiceps, 犬鞭虫Trichuris vulpis, 犬糸状虫Dirofilaria immitis, Capillaria felis-cati, C. putorii, Tetragompmms melis, Molineus lagerae, Trichuris sp.), 吸虫類4種 (横川吸虫Metagonimus yokogauai, 浅田棘口吸虫Eckinostoma hortense, Concinnum ten, Stepkanoprora sp.), 条虫類2種 (マンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei, 瓜実条虫Dipylidium caninum) の計17種で, 1頭あたりの寄生種は2~9種であった. ヒトに感染する可能性のある種は9種であった.
  • 寺門 誠致
    1999 年 52 巻 11 号 p. 730-731
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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