日本獣医師会雑誌
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鶏ボツリヌス症の流行要因
岡本 嘉六足立 雅之佐藤 憲一中馬 猛久
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キーワード: 鶏ボツリヌス症, 疫学, 芽胞
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1999 年 52 巻 3 号 p. 168-173

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抄録

1992年に隣接する3ブロイラー農場で鶏ボツリヌス症が発生し, 病鶏からClostridium botulinum type Cが分離され, 敷料および鶏舎周辺土壌の汚染が確認されたが, 1993年の調査では, これら3農場と, 周辺6農場中1992年発生農場から約10km離れた1農場の土壌と敷料からC型菌芽胞が検出された. さらに, 1995年の梅雨時期には1992年発生の1農場で再発生がみられ, 抗菌剤で沈静化したものの休薬期に大半が発症した. 1993年調査で芽胞が検出された他の農場ではこの時期の発生はなかった. 2回の発生を経験した農場も, 衛生管理の向上に努め, 出荷成績の向上とともに, その後の発生はない. これらの成績から, C型菌芽胞が存在していても飼育管理が適正であれば鶏ボツリヌス症が発生しないことが示唆された.

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