抄録
ミミヒゼンダニ寄生犬に対する10%フィプロニルの効果を検討した. 31頭のミミヒゼンダニ寄生犬に対して耳道内をクリーニングした後, 3滴 (約150μl) の10%フィプロニルを耳内に投与した. 約1カ月後にミミヒゼンダニの存在を臨床症状の変化とともに検査した. フィプロニルの処置により, 31例中29例 (93.5%) でミミヒゼンダニが消失した.耳内の掻痒や耳垢の量を指標とした臨床症状もそれぞれ28例 (90.3%) で改善が認められた.わずか3例 (9.7%) において, フィプロニル投与後に一時的に頭を振る動作が認められた以外は, 全身的な副作用はいずれの例にも認められなかった. 結論として, 10%フィプロニルはその有効性および安全性, そして応用の容易さから, 犬のミミヒゼンダニ寄生症例の治療に推奨される.